空手道は修道の精神と厳しい修練が渾然一体と成った武道です。私が目指す空手像とは、武芸全般に長けて居る空手が理想です。武道を目指す者として、武芸十八般を修めてみたいと常々思います。其の内の一つで有る喧嘩芸は、相手と交わった瞬間に勝ちを収めると言う瞬間芸で有りたい。身体を鍛え抜いた手足は、時に凶器の様に鋭い光を放つ位に研ぎ澄ませて置きたいと思います。
空手は組み手に使用する手の武器、足の武器は非常に多い。其の時の状況に合わせて使い分けるからだ。空気の様に存在感が無く、水の様に掴みようが無く、風の様に隙間を通り抜け、稲妻の様に一瞬で刺す。そんな空手が目標です。
聖士會館の空手は、力強い剛の空手因りも技の魔術師の様な柔の空手を目指し、両利きの空手を行って居るので、中庸な想いの生活を送り、生活の中では思考も動作も非常に器用だと思う。
空手の稽古は単調な基本稽古を生涯に於いて続けるのだが、修行年を重ねるにつれて、基本の大事さと其の意味が理解出来て来る様に成る。何万回も何十万回も続けて居る内に見え無いものを感じ、何時しか見えて来る様に成る。人間形成の道がおのずから開かれ、心の目が開くからで有る。
人生と共に空手の道を歩むと、技も心も充実し、人生も充実して来ます。宇宙に存在するもの全てが、絶対の存在として関係し合い、刻々と変化して居る事を心の奥底で感じます。此は宇宙の森羅万象が相互の結び付きに因って存在して居ると言う事ですが、そんな万物万象の宇宙観が膨らみます。そして心身の健康を守り、大自然と調和し、宇宙の法則に適った生き方をする様に成ります。
空手道と言うものは「喧嘩」をする為に習うのでは無い。「空手」は自分をを守り、家族を守り、友を守る為に有るもので、「道」は心を育て完成させて行くものです。老若男女、聖士會館の武道空手を目指す者は、知恵を練り心身を浄化し行に励む。何時も充実した想いの生活を送る事が出来れば波風は立たないものだ。
武道とは大器晩成への道のりだが、其れは人生そのもので有る。聖士への道のりは果てしなく長い。
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