武器を持っても空手家は空手家です。
武器を持つと言う行為は、本能的な格闘術です。
六尺棒を持つと長く重たいので、非常に動きが遅いと感じます。そして、六尺棒を持つ其の技だけなら、長刀や棒術を専門でやっておられる方の方が技術は優れて居ます。空手は本来「何も持た無い手」という様に武器を持つのが専門では有りません。あくまでも武器は空手の技の補足にしか過ぎません。
私の考えだけなのかも知れませんが、相手も武器を持って居る場合、
1.相手に対戦能力を対等か其れ以上に思わせる事。
2.相手の武器を地面に落とす。又は、破壊する事。
3.相手を威嚇する事。
4.相手を押さえ付ける事。
5.間合いを広く取る事が出来る事に因って、其の後の動きを考える余裕が有る。
等を考えています。
サイ(簪の意味)は、小手先の回転と金属の冷たい光で相手を惑わす。重量が有る為に小回りの突きと受け、叩き落とす、投げる等の操作を行います。最大の威力を発揮するのは投げ技です。動作は全て空手技が基本で、左右の手に1本ずつ持って操作する。空手の技の向上には非常に効果的です。
トンファーは、小手先の回転で相手を惑わす。把手を握って振り回せるのでサイに比べれば回転区域は大きい。受ける、突く、回転して打つ等使用範囲は少ないが破壊力が有ります。動作は全て空手技が基本で、左右の手に1本ずつ持って操作する。
ヌンチャク(双節棍)は、片方の棒を持ち、巧みに振り回して相手を威嚇、惑わせながら、其の遠心力を利用して攻撃、防御する。攻撃にはかなり威力を発揮します。特に物体を打ち、其の後の処理に力を注ぐ事が大切です。基本的な動作は、空手の形の動作によります。
此の他にも、杖、混紡、鎖鎌、刀、手裏剣等や周りに有る物全てを武器にする方法も心得ます。空手と武器とは表裏一体の関係に有ります。現代社会の中に於いて、物静かな武道家は、いざと言う時の為に普段の稽古は怠ら無い。
武器の稽古をする事の利点は、
1.武器の使用に慣れる事。
2.武器の仕様特性を知る事。
3.武器を持った相手との間合いに慣れる事。
4.他の武器を見て、其の仕様特性を見抜ける目を持つ事。
5.周りの物全てを武器として使用する様に応用が利く様に成る。
6.中心力を高める。
7.中心軸を正す。
等が挙げられます。
例えば、相手がナイフ等を持って居る場合を想定すると、自分の近くに椅子が有れば、有効な楯と成り、武器にも成ります。又、地面の砂を握って相手に投げ付け目潰しとしたり、衣服を楯や武器にしたりする事が出来ます。そして、気転が利く様に成ります。
鞘に納まった刀を何時も磨いて於く事が武道家の心得です。